少女病 白亜の檻 LRC歌詞
歌曲 白亜の檻 由 少女病 演唱。
白亜の檻
作詞:少女病
作曲.編曲:ピクセルビー
歌:Lico
聲:沢城みゆき、佐々木加奈
月(つき)に輝(かがや)く白亜(はくあ)の壁(かべ)は 全(すべ)てを拒(こば)むように高(たか)く
祈(いの)りひとつも通(とお)さぬほど整然(せいぜん)と街(まち)を囲(かこ)む
少年(しょうねん)は壁(かべ)に耳(みみ)を當(あ)て 外界(そと)の世界(せかい)を想(おも)う
果(はて)てなく広(ひろ)い草原(そうげん) 煌(きらめ)びやかな水音(みずおと)
笑顔(えがお)の絶(た)えない家族(かぞく) 優(やさ)しかった兄(あに)の橫顔(よこがお)
けれどその記憶(きおく)は古(ふる)びた絵本(えほん)のように遠(とお)く……
夢(ゆめ)のようにおぼろげで不確(ふたし)かなものだ
少年少女(こども)達(たち)はこの街(まち)に幽閉(ゆうへい)されていた
「ここから外(そと)へ出(で)ることは決(け)して葉(かな)わない。
日々(ひび)同(おな)じ時刻(じこく)に屆(とど)けられる食事(しょくじ)は、
たったひとつだけある街(まち)の入(い)り口(ぐち)から
白裝束(しろしょうぞく)の大人(おとな)たちが運(はこ)び込(こ)む。
無言(むごん)の彼(かれ)らは淡々(たんたん)と、その作業(さぎょう)に徹(てっ)していた」
僕(ぼく)らは受(う)け入(い)れている 外(そと)の世界(せかい)の風(かぜ)は
死(し)の病(やまい)に侵(おか)されているから
感染(かんせん)していない僕(ぼく)らは、この地(ち)で守(まも)られているんだ
隔離(かくり)された僕(ぼく)らは、この場所(ばしょ)からはじまっていく
約束(やくそく)の地(ち)に殘(この)された
選(えら)ばれし存在(そんざい)
七色(なないろ)の硝子箱(がらすばこ) 両親(りょうしん)にもらった寶物(たからもの)
抱(だ)きしめて生(い)きてゆこう
それが運命(さだめ)ならば
「隠蔽(いんぺい)された真実(しんじつ)。踏(ふ)み込(こ)んではならない禁忌(きんき)。
聡(さと)い少年(しょうねん)はやがて気(き)づいてしまう。
病(やまい)んでいるのは世界(せかい)ではなく。
……壁(かべ)の中(なか)にいる少年少女(こども)達(たち)自身(じしん)だということを」
『約束(やくそく)の地(ち)なんて、どこにもないのだから……』
選民(せんみん)という幻想(げんそう) 世界(せかい)から遺棄(いき)される
真実(しんじつ)いつだって殘酷(ざんこく)で
僕(ぼく)らは捨(す)てられたのだろう この白亜(はくあ)の檻(おり)の中(なか)に
行(い)き場(ば)のない苛立(いらだ)ち 大人(おとな)たちの白裝束(しろしょうぞく)は
僕(ぼく)らのためなんかじゃなく
彼(かれ)らを守(まも)るもの
衝動(しょうどう)に任(まか)せて 彼(かれ)らの仮面(かめん)を剝(は)ぐ
その下(した)にあったのは
涙(なみだ)に目(め)を腫(は)らした、母親(ははおや)の姿(すがた)だった……
捨(す)てられたわけじゃなかったんだ
ずっと傍(そば)にいてくれた
大人(おとな)たちは皆(みな)少年少女(こども)達(たち)の家族(かぞく)で
死(し)に向(む)こう僕(ぼく)らを見守(みまも)ってくれてた
近(ちか)くて遠(とお)い距離(きょり) 手(て)の屆(とど)く場所(ばしょ)にいるのに
觸(さ)れることは許(ゆる)されない
これは運命(さだめ)だから
けれど母親(ははおや)は僕(ぼく)の、流(なが)れる涙(なみだ)を拭(ぬぐ)って
躊躇(ためらう)わずに抱(だ)きしめた
ずっと離(はな)れぬよう……
「病(やまい)に冒(おか)された子(こ)を抱(だ)く母親(ははおや)の目(め)はとても穏(おだ)やかだった。
少年(しょうねん)は懐(なつ)かしい匂(にお)いのする胸(むね)の中(なか)で眠(ねむ)る。
母親(ははおや)と觸(ふ)れ合(あ)ってしまっているという事実(じじつ)に絶望(ぜつぼう)するのは、あと何秒(なんびょう)後(あと)だろう?
嗚呼(ああ)、この瞬間(しゅんかん)にも、母親(ははおや)にまで死(し)の病(やまい)が……」
『どうせ世界(せかい)は終(お)わるのに……』
終わり
白亜の檻