[ti:白亜の檻] [ar:少女病] [al:偽典セクサリス] [00:-6.00]白亜の檻 [00:-5.00]作詞:少女病 [00:-4.00]作曲.編曲:ピクセルビー [00:-3.00]歌:Lico [00:-2.00]聲:沢城みゆき、佐々木加奈 [00:-1.00] [00:00.42]月(つき)に輝(かがや)く白亜(はくあ)の壁(かべ)は 全(すべ)てを拒(こば)むように高(たか)く [00:12.82]祈(いの)りひとつも通(とお)さぬほど整然(せいぜん)と街(まち)を囲(かこ)む [00:24.29]少年(しょうねん)は壁(かべ)に耳(みみ)を當(あ)て 外界(そと)の世界(せかい)を想(おも)う [00:36.30]果(はて)てなく広(ひろ)い草原(そうげん) 煌(きらめ)びやかな水音(みずおと) [00:48.29]笑顔(えがお)の絶(た)えない家族(かぞく) 優(やさ)しかった兄(あに)の橫顔(よこがお) [01:00.89]けれどその記憶(きおく)は古(ふる)びた絵本(えほん)のように遠(とお)く…… [01:14.25]夢(ゆめ)のようにおぼろげで不確(ふたし)かなものだ [01:26.09]少年少女(こども)達(たち)はこの街(まち)に幽閉(ゆうへい)されていた [01:35.44] [01:36.07]「ここから外(そと)へ出(で)ることは決(け)して葉(かな)わない。 [01:38.38]日々(ひび)同(おな)じ時刻(じこく)に屆(とど)けられる食事(しょくじ)は、 [01:40.99]たったひとつだけある街(まち)の入(い)り口(ぐち)から [01:43.39]白裝束(しろしょうぞく)の大人(おとな)たちが運(はこ)び込(こ)む。 [01:45.08]無言(むごん)の彼(かれ)らは淡々(たんたん)と、その作業(さぎょう)に徹(てっ)していた」 [01:49.11] [01:52.00]僕(ぼく)らは受(う)け入(い)れている 外(そと)の世界(せかい)の風(かぜ)は [01:59.45]死(し)の病(やまい)に侵(おか)されているから [02:03.44]感染(かんせん)していない僕(ぼく)らは、この地(ち)で守(まも)られているんだ [02:10.50] [02:10.74]隔離(かくり)された僕(ぼく)らは、この場所(ばしょ)からはじまっていく [02:18.34]約束(やくそく)の地(ち)に殘(この)された [02:22.13]選(えら)ばれし存在(そんざい) [02:25.67]七色(なないろ)の硝子箱(がらすばこ) 両親(りょうしん)にもらった寶物(たからもの) [02:33.20]抱(だ)きしめて生(い)きてゆこう [02:37.16]それが運命(さだめ)ならば [02:41.01] [02:44.37]「隠蔽(いんぺい)された真実(しんじつ)。踏(ふ)み込(こ)んではならない禁忌(きんき)。 [02:47.43]聡(さと)い少年(しょうねん)はやがて気(き)づいてしまう。 [02:49.85]病(やまい)んでいるのは世界(せかい)ではなく。 [02:51.68]……壁(かべ)の中(なか)にいる少年少女(こども)達(たち)自身(じしん)だということを」 [02:55.54]『約束(やくそく)の地(ち)なんて、どこにもないのだから……』 [02:59.26] [03:05.14]選民(せんみん)という幻想(げんそう) 世界(せかい)から遺棄(いき)される [03:12.58]真実(しんじつ)いつだって殘酷(ざんこく)で [03:16.26]僕(ぼく)らは捨(す)てられたのだろう この白亜(はくあ)の檻(おり)の中(なか)に [03:23.61] [03:23.79]行(い)き場(ば)のない苛立(いらだ)ち 大人(おとな)たちの白裝束(しろしょうぞく)は [03:31.48]僕(ぼく)らのためなんかじゃなく [03:35.17]彼(かれ)らを守(まも)るもの [03:38.78]衝動(しょうどう)に任(まか)せて 彼(かれ)らの仮面(かめん)を剝(は)ぐ [03:46.59]その下(した)にあったのは [03:50.14]涙(なみだ)に目(め)を腫(は)らした、母親(ははおや)の姿(すがた)だった…… [03:59.57] [04:03.67]捨(す)てられたわけじゃなかったんだ [04:07.58]ずっと傍(そば)にいてくれた [04:10.66]大人(おとな)たちは皆(みな)少年少女(こども)達(たち)の家族(かぞく)で [04:17.98]死(し)に向(む)こう僕(ぼく)らを見守(みまも)ってくれてた [04:26.38] [04:26.88]近(ちか)くて遠(とお)い距離(きょり) 手(て)の屆(とど)く場所(ばしょ)にいるのに [04:34.50]觸(さ)れることは許(ゆる)されない [04:37.88]これは運命(さだめ)だから [04:41.76]けれど母親(ははおや)は僕(ぼく)の、流(なが)れる涙(なみだ)を拭(ぬぐ)って [04:49.49]躊躇(ためらう)わずに抱(だ)きしめた [04:53.00]ずっと離(はな)れぬよう…… [04:56.37] [04:56.54]「病(やまい)に冒(おか)された子(こ)を抱(だ)く母親(ははおや)の目(め)はとても穏(おだ)やかだった。 [04:59.25]少年(しょうねん)は懐(なつ)かしい匂(にお)いのする胸(むね)の中(なか)で眠(ねむ)る。 [05:03.05]母親(ははおや)と觸(ふ)れ合(あ)ってしまっているという事実(じじつ)に絶望(ぜつぼう)するのは、あと何秒(なんびょう)後(あと)だろう? [05:08.26]嗚呼(ああ)、この瞬間(しゅんかん)にも、母親(ははおや)にまで死(し)の病(やまい)が……」 [05:12.23] [05:13.78]『どうせ世界(せかい)は終(お)わるのに……』 [05:16.25]終わり